創作小説サイト夢うつつ(http://sappe.fc2web.com)にて公開中の作品裏話をする場所(仮)。おまけ要素があるとかないとか。
**2009'3/10に書かれたメモ小話に加筆修正したもの
――僕の声は、聞こえていますか?
少女が、踊っている。
バレリーナの着る、チュチュと呼ばれていたはずの衣裳をその身にまとって、人のいない舞台の上を一人で踊って居る。スポットライトに照らされたその姿は、この世の者を思わせないほどに鮮やかで、儚げだった。
その舞台に僕は呼びかけて、笑う。口角を上げるだけの笑い。少女が止まる。世界が変わる。少女は現実に引き戻される。
――ああ、キレイな世界を壊してしまった。
少女は不思議そうに僕を見る。口を開く。「ダァレ?」と。
僕は笑う。ただ微笑む。母親が、子供にするように微笑む。
手を伸ばす。握手を求めるファンのように手を伸ばす。
いこう。ただ一言、声にのせずに言った。
少女はしばらく悩んで、僕の手を取った。そして、また儚げに踊りだした。舞台に「僕」という異物を引き連れて。
そして少女は気付いた。「異物」の侵蝕に。
少女の表情が凍る。強張る。怯える。絶望する。
――嗚呼、少女に僕の声が聞こえなくなってしまった。
白いチュチュが赤く染まる。少女が消える。幕が下りる。スポットライトは消えて、舞台には闇が残った。
闇ばかりの舞台の上で、丁寧に頭を下げて笑った。
――僕の声は、聞こえていますか?
少女が、踊っている。
バレリーナの着る、チュチュと呼ばれていたはずの衣裳をその身にまとって、人のいない舞台の上を一人で踊って居る。スポットライトに照らされたその姿は、この世の者を思わせないほどに鮮やかで、儚げだった。
その舞台に僕は呼びかけて、笑う。口角を上げるだけの笑い。少女が止まる。世界が変わる。少女は現実に引き戻される。
――ああ、キレイな世界を壊してしまった。
少女は不思議そうに僕を見る。口を開く。「ダァレ?」と。
僕は笑う。ただ微笑む。母親が、子供にするように微笑む。
手を伸ばす。握手を求めるファンのように手を伸ばす。
いこう。ただ一言、声にのせずに言った。
少女はしばらく悩んで、僕の手を取った。そして、また儚げに踊りだした。舞台に「僕」という異物を引き連れて。
そして少女は気付いた。「異物」の侵蝕に。
少女の表情が凍る。強張る。怯える。絶望する。
――嗚呼、少女に僕の声が聞こえなくなってしまった。
白いチュチュが赤く染まる。少女が消える。幕が下りる。スポットライトは消えて、舞台には闇が残った。
闇ばかりの舞台の上で、丁寧に頭を下げて笑った。
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